はじめに
みなさん、こんにちは。
走れるシステムエンジニア、溝口です。
先日7月9日に、弊社のプライベートイベントであるTerraSky Dayが開催されました。 その中で「お昼だよ!日本のForce.com MVP全員集合!」というランチセッションに参加して来ました。
今回のランチセッションはSalesforceのMVPに表彰された 株式会社マッシュマトリックス 冨田さん TAOドライブ株式会社 米井さん 弊社からは今岡、讃岐、吉川の5名のMVP そしてSalesforceの岡本さんをモデレーターに迎えてトークセッションを繰り広げるという、なんとも豪華なランチセッションとなっていました。
以下、その様子や内容をお伝えしていこうと思います。
岡本さん「そもそも、SalesforceのMVPとは?」
讃岐「エンジニアとしてのスキルを社内、社外共に発揮し、グローバルで認められたエンジニアに与えられるもの」
SalesforceのMVPとは何であるか、ということが讃岐から語られました。
デベロッパーフォーラムでのやり取りであったり、Salesforceについての有益なアウトプットを継続して実施し、Salesforceの普及に貢献しているエンジニアに与えられる賞なんですね。
岡本さん「Salesforceに未来はあるか?」
今岡「未来があるかどうかといえば、未来はあると思う。 最近だと20年以上扱っているレガシーのシステムを移行するような案件が出てきている。」
Salesforceの案件はどちらかと言うとフロント側の業務をリプレースする様な案件が多いのですが、最近は基幹システムをまるごと置き換えるような案件も出てきています。
基幹のシステムを置き換える、ということは、基幹のリプレースだけでなく、それを取り巻くシステムも同時並行で改修していく必要があるということです。
加えて、Salesforceにはそういった基幹を取り巻くシステムを改修する為の仕組みが豊富に用意されているので、これから基幹を含めたリプレース案件がどんどん増えてくるのでは無いか、ということでした。
一方で、大容量データを扱う際のストレージの容量が高いといったウィークポイントも挙げられていました。
ただ、これに関してはAWSのS3やRDSなど、Salesforceに比べて安価な外部のサービスと連携することによって解決することが出来るので、どういったソリューションを提供するのかはエンジニアの腕の見せどころといった所だと思います。
岡本さん「エンジニアからSalesforceはどう映っている?」
冨田さん「SalesforceがOSSのコミュニティに還元していくようになると、(社会としての)ITプラットフォームでビジビリティを増していくと思う」
Salesforceは初期の段階からビジネス要件を満たせるような機能が豊富に用意されていて、今ではそれらを活用して多種多様なビジネスを回せるようにまで発展して来ました。
その一方で、Salesforceプラットフォームという閉じた世界だけでなく、開発方法であったり、技術要素に関してももっとオープンにしていくことで、IT業界全体の活性化に繋がっていくのではないか、という話をされていました。
米井さん「GitHub上で何かしらコードを公開して、そのコードを自身の組織にデプロイする流れは出てきている。」
米井さんも冨田さんと同じように、Salesforceのオープン性について話をしていました。
パートナー目線ではAppExchangeを通して、自身のSalesforce組織へサードパーティのパッケージをインストールすることが簡単に出来るので、そういった意味でのエコシステムは上手く出来上がっています。
しかし、「開発基盤」としてのエコシステムが上手く出来上がっているかどうかに関しては、若干疑問な部分があるとのことでした。
その点に関しては最近ではGithub等でApexやVisualforceのコードが公開されて、そのコードを自身の組織で活用する、という動きも出てきているようです。
私自身も先日公開したブログの中で活用したエラーメッセージをBootstrap風に置換するコードをGistから拾って試していたりしたので、確かにそういう動きもあるなと思いました。
また、先述のOSSの様な開発者の流れが今後どうなっていくかは、後述するDUG(Developer User Group)の活動が重要になってくるとのことでした。
岡本さん「Salesforceのコミュニティに参加することの利点は?」
讃岐「社内でも社外でも色々な所で声をかけて頂くことが増え、仕事の中でも色々な相談を持ちかけられることが多くなった。」
Salesforceのコミュニティの1つとして、デベロッパー・フォーラムという開発者同士が質問やそれに対しての回答、議論を行う仕組みがあります。
B to Bのサービスを多く扱うSalesforceでは、コンプライアンス的に表に出したくても表に出せない情報が多く存在しているのも事実です。
しかし、それでもデベロッパー・フォーラムのようなコミュニティで活動することは、非常に良い経験になると共に、自分自身の視野が広がり、更に色々なことにチャレンジ出来る場が増えた、という話をされていました。
吉川「デベロッパー・フォーラムで他の人が悩んでいることを自分でも調べることで、勉強するきっかけになったり、気付きがあったりして、成長出来た。」
吉川もデベロッパー・フォーラムで活動することにより、自分が今まで憧れていたデベロッパーに混ざってLTをしたり、本当に良い経験が出来たと語っていました。
やはり能動的にアウトプットを行う、ということは他の誰かの為になるだけでなく、自分自身にも「経験」という確かな価値として還って来るので、デベロッパー・フォーラムに限らず、色々な場で継続してアウトプットをしていくことが、エンジニアにとっては重要なのだと感じました。
岡本さん「DUGとキャリアについて教えてください」
米井さん「エンジニア同士の人脈によって、キャリアが形成される、ということもあると思う」
DUGの運営を担当している米井さんから、DUGの様なコミュニティで活動することは、エンジニアにとって価値を高めることに繋がると共に、万が一自身の所属している会社に何かあったとしても、コミュニティでの活動の実績があれば、誰かしらが拾ってくれるのではないかという話をされていました。
確かに昨今の企業のエンジニアの採用条件として、Githubのアカウントでの活動状況や、テックブログでの執筆履歴、コミュニティやOSSでの活動実績等を重視する企業が増えてきていると聞きます。
エンジニア自身のキャリアの構築の助けになる、というのは漠然とメリットとしてはあるんだろうなと思ってはいましたが、コミュニティの中で築く信頼関係というものは、自分が考えるより遥かに大きいものの様です。
岡本さん「今後、エンジニアにとって必要なものとは何でしょう?」
冨田さん「コンピュータサイエンスの基礎から学ぶことで、俯瞰的にITというものを捉えられるようになるし、この先の自分たちの未来を自分たちで作ることが出来る」
技術者として厳しい立場で考えるなら、と前置きがあった後、冨田さんから 「フットワークの軽くないエンジニアなんて絶対に生き残れない」 ということが語られました。
エンジニアは常に勉強し続けることが必要であり、Salesforceの様なクラウドサービスは手軽に色々なサービスが作れてしまう反面、その仕組に頼りきってしまっては、今後Salesforceのインフラを発展させていこうとなった時に立ち行かなくなってしまう、という話をされていました。
中でも「エンジニアは第2のSalesforceを作る、という気概を持って活動して欲しい」という言葉には本当に感銘を受けました。
Salesforceという仕組みを活用してお客様に価値を提供する、というのはもちろん自分たちの様なSalesforceを扱うエンジニアにとって大切なことではありますが、それ以上にSalesforceを超えるシステムを自分たちで作る、という志を持って活動することで、エンジニアとしての技術力を更に高めていけるのだと思いました。
今岡「どこに行っても通用するエンジニアになろう」
今岡から、自身が考えるエンジニア像として、どういった状況でも活躍出来るようなエンジニア、ということが挙げられていました。
Salesforceというプラットフォームに限らず、常にアウトプットを怠らずに、色々なことを吸収して活用出来るようなエンジニアが理想的だと語られていました。
最後に
今回MVPトークセッションを聞いて、エンジニアとしてコミュニティで活動すること、アウトプットを継続していくことの重要性を改めて認識させられました。
私自身もブログや勉強会等でアウトプットはしてはいますが、MVPに表彰される方たちに比べたらまだまだ及ばない部分が多々あるので、もっと貪欲に色々な場で活動して、この業界を盛り上げて行けたらと思います。