みなさんこんにちは。 現在サンフランシスコで開催中の Dreamforce 2013 のレポートを現地よりお届けするシリーズ第二回です。
今回は11/19 のセッションの中から、Dreamforce のメインイベントとも言えるマーク・ベニオフ氏による基調講演をお届けします。 日本では真夜中のため、リアルタイムでご覧になった方は少ないかもしれませんので、 会場の熱気と、マーク氏が描く未来像をお届けできれば幸いです。
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの熱い演奏「Back in Time」から基調講演の幕が開けました。 Back to the future の曲と言えばお馴染みでしょうか。
大音量で響き渡る名曲に、会場のボルテージは一気に上昇したところで、マーク氏が登場しました。
顧客のインターネット
大事なキーワードなのでもう一度書きます。
顧客のインターネット
Customer Company Tour Japan でも強調されていたキーワードです。 あらゆるモノがインターネットを介してつながるようになり、500億ものモノがインターネットに接続されるようになります。 SNSアカウントで45億、モバイル端末で50億、モノが500億。 これらがすべて、クラウド上でつながるのです。 そして、忘れてはならない大事なことは、すべてモノの背景には、必ず顧客の存在があるということです。
つまり、この第三のコンピューティングの波を活用することにより、企業は1:1 の顧客対応が可能になります。 これを体現する企業がカスタマーカンパニーであり、これからの未来を生きる企業の姿です。
医療、金融、製造など、あらゆる企業がカスタマーカンパニーに生まれ変わる必要があります。 IBM の調査によると、66%の企業が顧客を理解(認識)できていないそうです。 これから変化する必要のある余地は、非常に大きなものです。
カスタマーカンパニーにとって、モバイルデバイスへの対応は非常に重要ですが、 実際にエンタープライズアプリケーションをモバイル対応できているのは、全体の半分にも及びません。 なぜなら、技術者の数やOS・プラットフォームの差異など、困難な問題が山積みだからです。 そこで Salesforce は、顧客のインターネットを実現するための新しいプラットフォームを提供します。
salesforce1
- 開発者 にとっての salesforce1 モバイル対応の API が拡充され、従来の10倍となります。 また、既存の Visualforce や Apex はすべて従来通りのまま、モバイル対応アプリケーションとして動作します。
- ISVs にとっての salesforce1 フィールドサービスやクラウド印刷など、新世代のアプリケーションが簡単に構築できます。
- システム管理者 にとっての salesforce1 専用アプリケーション SalesforceA により、いつでもどこでも管理作業ができます。
- エンドユーザにとっての salesforce1 従来利用していた商談などの標準機能やカスタムオブジェクト、カスタムアプリケーションなど、すべてがそのまま salesforce1 プラットフォームで動作するモバイル対応アプリケーションになります。
- 顧客にとっての salesforce1 モバイルにも対応したアプリケーションを簡単に構築し、顧客に提供できるようになります。 また、企業ごとのマーケティングに重要なブランディングをカスタマイズ設定により行えるようになります。
すべてのことが、salesforce1 でできるようになるのです。
Service Cloud
- いつでもどこでもサービスを提供できる
- あらゆるアプリケーションを組み込むことができる
- コラボレーションにより素早い問題解決を行う
- 2000以上の AppExchange アプリケーション
これらをキーワードに、Philips の MRI 装置を利用したデモンストレーションが行われました。
シナリオは各デバイスと salesforce1 の相互接続と、それにより生み出される効果的な活用を示すものでした。
- MRI 装置とコールセンターの salesforce1 プラットフォームの接続
- MRI 装置診断ソフトウェアが組み込まれたサービスクラウドコンソール
- ロケーションをベースにサービスエンジニアにサービスチケットを発行
- サービスエンジニアは Google グラスでチケット情報を確認
- コールセンターとサービスエンジニアがコラボレーションにより問題解決
といったことをデモンストレーションしていました。 実際の MRI 装置や Google グラスなどのデバイスがリアルタイムに接続されている 非常に興味深いデモンストレーションでした。
Sales Cloud
- あらゆるモバイルデバイスからセールス可能
- 2000以上の AppExchange アプリケーション
- カスタムモバイルアプリケーションを構築可能
これらをキーワードに、ADP 社の事例紹介が行われました。 salesforce1 の導入により、営業活動が革新的に進化したそうです。
また、SONY のスマートウォッチで顧客情報を表示するという面白い使い方をしていました。
Exact Target Marketing Cloud
マーケティングは顧客のインターネットをリードする
Salesforce.com が吸収合併した ExactTarget と従来からの Radian6、BuddyMedia 、 そして salesforce1 を活用して、顧客に個別にターゲティングした有効なマーケティング活動を 行うためのプラットフォームとして Exact Target Marketing Cloud が発表されました。
デモンストレーションでは先日発売されたプレイステーション4の事例から、 マーケティングプランを Exact Marketing Cloud (初公開の画面です!)の Journey Builder で計画
ロケーションを利用したキャンペーンで、とあるバス停の近くにいるユーザにキャンペーン QRコードを送信し、ユーザはバス停の広告ディスプレイで特典ゲームができるといったものでした。 実際のバス停のように見える場所でリアルタイムに行われ、想像していた未来が 現実化してきているという驚きがありました。
Superpod
大規模顧客向けに、ハードウェアを占有利用するサービスとして Superpod が正式アナウンスされました。 これはヒューレットパッカード社との共同であり、同社のハードウェア上に構築されるとのことです。
基調講演のレポートは以上です。 顧客のインターネット、カスタマーカンパニーをコンセプトだけではなく、 現実に手の届くものとするというビジョンのもと、salesforce1 や Service/Sales/Marketing Cloud が提供されているというメッセージが強く伝わる、非常にエキサイティングな講演でした。