Dreamforce 2015のレポートの締めは私 山田が担当させて頂きます。
今年のDreamforceも3日目を迎え、Day 2のCEO Marc Benioff氏のKeynoteに続き、Day 3は各プロダクトのKeynoteが各会場で開催されました。私自身、3年振り5回目の参加となったDreamforceでしたが、6つのKeynoteと5つのSessionに参加させて頂きました。テラスカイにとっては本日が実質最終日となるため、全体総括的な意味合いも含め、今年のDreamforceに込められたメッセージと私自身の所感、さらにそれを受けてCloud Integraterである弊社がどのように対応していくべきかにつき、個人的見解も交え、書かせて頂きたいと思います。(全てのKeynote、Sessionには参加できておらず、且つ現時点での理解の範囲内での記載となりますのでその点ご了承下さい)

THE CUSTOMER SUCCESS PLATFORM


言うまでもなく今年のDreamforceのテーマなのですが、Salesforceがお客様の成功を実現するプラットフォームであることを再度強調すると共に、そのテーマをささえる主要キーワードはあくまで個人的見解でさらにレベル感の違いはありますが、以下になると認識しました。

  1. The Connected Customer, IoT
  2. User Experience, Responsive UI
  3. Partnership + (with Microsoft)

これらどれもが、最終的にはお客様の成功を支えることになるというsalesforce.comの長年にわたるテーマであり、ここには従来通り一切ぶれが無いのですが、それを実現する技術、方法、仕組みが新しい、もしくは幾つかについては、より具体的になってきているということを感じました。

The Connected Customer, IoT


これはDay 2の基調講演の中で出ていましたが、Cloud, Mobile, Social, Data Science, IoT全てが繋がり、これら全ての先にはCustomerが存在する、そのCustomerの成功を支援するプラットフォームがSalesforceであるというメッセージになります。このメッセージはここ数年発信され続けてきましたが、この波はさらなる技術進歩・ITの普及と相まって今後加速度的に速く広く進んでいくものと思います。Day 2の今岡の基調講演報告でもありましたが、IoT Cloudはまさにこのトレンドの中で発表されたプラットフォームであると言えます。日々加速度的に繋がる各種デバイス、そのデバイスから出力される膨大な情報をThunderと呼ばれるデータ処理エンジンを通して連携・管理・モニターし、実際のユーザに必要なアクションを通知・指示したり、アクションのためのデータを提供することで、"管理する"CRMから"インテリジェントな機能を提供する"CRMの変革をもたらすものだと理解しました。
※Salesforce IQ(詳細はDay 2の今岡のレポート参照)もインテリジェントなCRMという定義の中に位置づけられるかもしれません。

(右上の写真はIoT Cloudのデータストリームに対して条件判断し、アクションを定義するUI)

このエリアはそのキーワード自体に新規性は無くとも、様々な業種・業界において新しい顧客事例が増えていくことは間違いはありません。Dreamforceの裏番組で弊社テラスカイも東京ビッグサイトで開催中の『自動認識総合展』で、デンソーウェーブ様のブースにSalesforceとハンディターミナルの連携IoTソリューションを出展していましたが、Dreamforceで発表になった新しい技術をさらに詳細学習・吸収し、今後に繋げ拡げてていくことが必要だと感じました。

User Experience, Responsive UI

各Keynote、Sessionに参加して感じたのはLightning ExperienceとWave (Analytics Cloud) に見るUIの変化です。私は今回Service Cloud、Wave関係のセッションに多く参加してきましたが、Service CloudのRoadmap SessionでLightningのUIがService Cloud Consoleにも対応しているデモを見ることができました。またDashboardに関してもテンプレート化され、さらにWaveを利用することによりResponsiveな画面による分析を実行しているデモも同様です。特にResonsiveなUI(例:見たいデータ箇所をクリックすることによりその関係するデータ、ブレークダウンされたデータが瞬時に反応し変わる)はユーザにデータの分析から必要なアクションを起こさせる一連の処理をサポートするという意味において先に述べた"インテリジェントな"機能を提供することと関係してきます。

Analytical Cloudを既に導入しているユーザ事例を紹介しているSession (Day 1のIntroduction to Wave Analytics: Analytics for Salesforce Users)において、スマートフォンでWaveのダッシュボードを分析し、発見した問題や指示を出したい箇所に画面上に赤で矢印や丸印を手で記入しそのスナップショットをChatterで投稿、共有するというデモを見ることができました。

また、Analitics CloudのKeynoteでも「次はMarketing Waveだ」、「今後、パートナーによるパイロットアプリケーションも発表していく」というコメントが最後にありました。

Dreamforce Day2には弊社テラスカイが日本に先駆けて米国で発表したSuPICE(Lightning Componentを作成する新サービス)の説明、デモのSessionを開催しましたが、まさにUI、User Experienceずばりそのものの領域の話になります。ここでもsalesforce.com社のソリューションと上手く連携、付加価値としての機能を提供させて頂くとともに、Salesforceが提供するLightning Experiene, Waveについても理解し、日本でも実際のお客様での導入・開発案件が出てきた時に対応できるよう準備していくことが必要だと感じました。技術者にとってもUI設計やプロジェクトにおけるプロトタイプの進め方を今まで以上に考慮して進める必要が出てくるため、方法論の見直しを含め、チャレンジング且つエキサイティングな領域になってくると思います。

Partnership + (with Microsoft)

PartnershipをSalesforceのEcosystemにおけるパートナーと考えると、今回参加したDay 1のPartner Keynoteでも改めてsalesforce.com社がここを重要視していることを感じることができました。

特に今回Force, Heroku, Lightning, Thunder等を含めてApp Cloudというブランド変更?がありましたが、様々な技術領域に対する開発プラットフォームとして対応していく戦略が伝わってきました。事前に聞いてはいましたが、認定資格制度の変更やTailheadというオンラインでの導入・開発スキルを学習するツールのパートナー向けのロードマップも知ることができました。新しい技術、手法を吸収していくこといは絶対に必要なことですが、対応領域に優先順位としっかりとしたプランを持ってどこを強みにしていくか、強みを増やしていくかは弊社として、各々の技術者として今まで以上に考えていく必要があると感じました。

あと、外せないのは(最後に書くにはもったいない限りですが)Microsoft社との協業・連携です。既に各メディア、ソーシャルネットワークで大々的に取り上げられていますが、今までも製品連携という意味においてはありましたが、Dreamforce始まって以来、初めてMicrosoft社のロゴのブースが出展されたとのことです。また何よりMicrosoftのCEO Satya Nadella氏がMarc Benioff氏のKeynoteで壇上に上がったこと、Sessionにおいて自ら連携のデモを実施したことでしょう。Office 365を始めMicrosoft製品との連携はお客様視点で見て今までできなかったことが実現できる機会になります。私どもCloud Integratorとしても今以上に複数のベンダー製品を統合したソリューションを提案、導入していくことになっていく方向性にあるのではと考えます。

最後に

Salesforceが年々というよりも実際には日々進化していくことにより、開発者、技術者、コンサルタントは新しい技術や開発のスキルを追随していく必要があるのは自明の理ですが、今回のMicrosoft社との連携の結果として(Herokuプラットフォーム強化もありますが・・・)各プラットフォーム企業が持つEcosystemの中だけでの活動、競争だけでなく、複数のEcosystemにまたがった対応やスキルの習得も今後さらに重要になってくるのではと今回のDreamforceに参加して強く感じました。(私自身はつい最近までプラットフォームベンダーいたのが今回Cloud Integratorであるテラスカイ社として初めてDreamforceに参加したからこそ余計なのかもしれません)
これは一つにはシステムを提案・計画する際にお客様にとってどういう構成をお薦めするのが良いのかというより上流のコンサルタントのスキルセットが変わってくる、次には実際の導入・開発フェーズにおいても開発者/技術者のスキルセット、さらには運用フェーズにおけるプラットフォーム運用をどうするかというチャレンジが出てくると思います。まさにCloud Integratorとしての使命がそこにあるのでないかと思いますが、今更ながら改めて良い気付きを頂いたということも含めDreamforce 2015に感謝したいと思います。これからも宜しくお願い致します。