富士通コワーコ株式会社様
基幹システムをFujitsu GLOVIA OMで刷新―開発・運用コストを削減し、変化するビジネス環境に内製で対応可能に
- GLOVIA OM
- IT・コンサルティング
- 100名-500名
- データ連携
- ERP
概要
富士通コワーコ株式会社は、富士通純正サプライ品をはじめとする豊富なオフィス関連用品の販売、プリント・オン・デマンドを活用したドキュメントソリューション、セキュリティ対策と環境負荷削減に寄与するPCデータ消去・買取サービスなどを手掛けている。自社運営のECサイトも展開しており、日々のオフィスワークや働く環境づくりをさまざまな場面でサポートしている。
同社は、2000年頃から運用してきた基幹システムを2013年に刷新し、Salesforceをプラットフォームとする販売管理システム「Fujitsu GLOVIA OM」を導入。導入の結果、開発コスト及び運用コストの大幅削減に成功した。さらには、業務の変化にも内製でスピーディーに対応可能になり、10年超の事業成長を支え続けている。
同社は、2000年頃から運用してきた基幹システムを2013年に刷新し、Salesforceをプラットフォームとする販売管理システム「Fujitsu GLOVIA OM」を導入。導入の結果、開発コスト及び運用コストの大幅削減に成功した。さらには、業務の変化にも内製でスピーディーに対応可能になり、10年超の事業成長を支え続けている。
業務面、システム面それぞれの課題解決のため基幹システム刷新を決断
同社が以前導入していた基幹システムは導入後10年が経過し、老朽化をはじめとするさまざまな課題が生じていた。また、ビジネス環境の変化に速やかに対応できるよう、柔軟性や拡張性も求められていた。
システム統括部 情報化推進部 部長の伊藤茂泰氏は、当時の状況を次のように話す。
「以前の基幹システムは、メインフレーム上に構築されていました。個々の取引先の要件などに合わせて部分的な修正や拡張を繰り返してきたことに加え、当時のシステムを理解している担当者が退職していたので全容を把握できなくなっていました。また、保守費用は高額で、小規模な修正にも工数がかかってしまうため、ビジネスの変化にもスピーディーに対応できない状況だったのです。年々変わるセキュリティ要件への対応するうえでも、基幹システムの刷新は必要でした」
このような背景により2010年にプロジェクトが始まったが、本番稼働の2ヵ月前に中断した。システム部門と業務部門の合意形成を適切に行えなかったことが原因だったと、伊藤氏は振り返る。
「以前の基幹システムは、メインフレーム上に構築されていました。個々の取引先の要件などに合わせて部分的な修正や拡張を繰り返してきたことに加え、当時のシステムを理解している担当者が退職していたので全容を把握できなくなっていました。また、保守費用は高額で、小規模な修正にも工数がかかってしまうため、ビジネスの変化にもスピーディーに対応できない状況だったのです。年々変わるセキュリティ要件への対応するうえでも、基幹システムの刷新は必要でした」
このような背景により2010年にプロジェクトが始まったが、本番稼働の2ヵ月前に中断した。システム部門と業務部門の合意形成を適切に行えなかったことが原因だったと、伊藤氏は振り返る。
「当初は『業務をシステムに合わせる』方針でパッケージシステムを導入しようとしました。しかし、構築や画面設計が進む中で、システム部門では現場の業務やシステムの使われ方を把握できておらず、その出来上がりを見た業務部門から『実情に即していない、利用シーンが想像できない』と反発を受けてしまったのです。現場の方々も基幹システムを刷新する必要性は理解していましたが、システム部門がどのようなものを作っているのか分からず、期待感だけが高まっていたようでした。そのため、新しい操作画面や機能などを示されたときのギャップが大きく感じられたのだと思います」(伊藤氏)
セールスサポート統括部 インサイドセールス部 担当課長の中村裕介氏は、業務側の立場で当時の雰囲気を次のように話す。
「現場はお客様優先で、業務プロセスやシステムの機能、使い方をお客様との取引に合わせようとする傾向が強かったのです。業務を標準化しようという気持ちもありましたが、お客様や案件に合わせた個別対応の方が重要で、業務をシステムに合わせるという意識はありませんでした」(中村氏)
「現場はお客様優先で、業務プロセスやシステムの機能、使い方をお客様との取引に合わせようとする傾向が強かったのです。業務を標準化しようという気持ちもありましたが、お客様や案件に合わせた個別対応の方が重要で、業務をシステムに合わせるという意識はありませんでした」(中村氏)
柔軟性、コスト、セキュリティなど要件を満たす「Fujitsu GLOVIA OM」を採用
2010年のプロジェクト中断後、新システムをフルスクラッチ開発する場合の費用を改めて試算したところ、10億円を超えると見込まれたという。開発スピードの向上や導入後のカスタマイズの柔軟性なども踏まえて方針を再検討した同社は、Salesforceをプラットフォームとする販売管理システム「Fujitsu GLOVIA OM」(以下GLOVIA OM)の採用を決定した。
「当時の社長がSalesforceとGLOVIA OMを強く推していたこともあり、自分たちでも使ってみたところ、柔軟に開発できそうな感触は得られました。開発コストを試算したら、数億円は下がるという結果が出たことも大きな理由です。また、従来のシステムで課題としていたセキュリティの強化という観点でも、クラウド基盤による最新のセキュリティ対応が可能となることから、最適なソリューションであると判断しました」(伊藤氏)
「当時の社長がSalesforceとGLOVIA OMを強く推していたこともあり、自分たちでも使ってみたところ、柔軟に開発できそうな感触は得られました。開発コストを試算したら、数億円は下がるという結果が出たことも大きな理由です。また、従来のシステムで課題としていたセキュリティの強化という観点でも、クラウド基盤による最新のセキュリティ対応が可能となることから、最適なソリューションであると判断しました」(伊藤氏)
Salesforceの機能を活かし、業務部門と意思疎通しながら開発・構築
基幹システム刷新プロジェクトは、2011年に再始動した。前回の失敗を踏まえ、システム部門と業務部門の意思疎通と合意形成を丁寧に行いながら進めたと伊藤氏は話す。
「現場の人たちに、普段どのようにシステムを使っているのかを教えてもらい、その内容を新システムにどう実装すればよいかを会話しながら業務フローの構築と画面設計を進めました。Salesforceのプロトタイプ画面を活用して、検証と評価にかなりの期間を費やしましたが、おかげでお互いの理解は深まりました。特に画面設計は、現場の方々が毎日触れるものなので慎重に進めました」(伊藤氏)
「業務部門に対して、ヒアリングの機会が多く設けられていたのを覚えています。従来の画面と新しい画面を対照しながら説明してもらうようにして、現場からも意見や要望を活発に出していきました」(中村氏)
導入の最終段階となる移行作業は、移行手順やデータ連携の整合性を確認した後に実施した。日々の業務では商品マスタや在庫管理、自社運営のECサイトなど外部の各システムと基幹システムの間で1日400を超えるデータ連携処理が行われており、従来のシステムと新システムを並行稼働しながらの移行はできなかった。そこで、入念な準備によって移行の成功率を高めたという。
「新システムでも従来のデータの流れや中身は一切変えず、インプットとアウトプットの整合性を保証するという方針で進めました。従来のシステムには数千の項目があり、使われているのかわからないものもありましたが、今まで通りに業務を進められることを優先して丸ごと移しています」(伊藤氏)
従来のシステムと連携してきた外部システムのデータは、テラスカイが取り扱っているデータ連携ツール「DataSpider Servista」を用いてGLOVIA OMに取り込めるようにした。これにより、既存のシステム資源とデータ資産を活かしながら一元的に管理、参照できる環境を実現している。
「現場の人たちに、普段どのようにシステムを使っているのかを教えてもらい、その内容を新システムにどう実装すればよいかを会話しながら業務フローの構築と画面設計を進めました。Salesforceのプロトタイプ画面を活用して、検証と評価にかなりの期間を費やしましたが、おかげでお互いの理解は深まりました。特に画面設計は、現場の方々が毎日触れるものなので慎重に進めました」(伊藤氏)
「業務部門に対して、ヒアリングの機会が多く設けられていたのを覚えています。従来の画面と新しい画面を対照しながら説明してもらうようにして、現場からも意見や要望を活発に出していきました」(中村氏)
導入の最終段階となる移行作業は、移行手順やデータ連携の整合性を確認した後に実施した。日々の業務では商品マスタや在庫管理、自社運営のECサイトなど外部の各システムと基幹システムの間で1日400を超えるデータ連携処理が行われており、従来のシステムと新システムを並行稼働しながらの移行はできなかった。そこで、入念な準備によって移行の成功率を高めたという。
「新システムでも従来のデータの流れや中身は一切変えず、インプットとアウトプットの整合性を保証するという方針で進めました。従来のシステムには数千の項目があり、使われているのかわからないものもありましたが、今まで通りに業務を進められることを優先して丸ごと移しています」(伊藤氏)
従来のシステムと連携してきた外部システムのデータは、テラスカイが取り扱っているデータ連携ツール「DataSpider Servista」を用いてGLOVIA OMに取り込めるようにした。これにより、既存のシステム資源とデータ資産を活かしながら一元的に管理、参照できる環境を実現している。
GLOVIA OMへの移行によりデータ利活用や業務効率化を促進
同社では2013年5月に、基幹システムをGLOVIA OMへ移行した。新システムは、業務面でさまざまな恩恵をもたらしている。
外部システムで保持しているデータを含め、業務上のあらゆるデータがGLOVIA OM上で一元的に参照できるようになった。そのため、リアルタイムでデータを分析し、ビジネス状況の変化に対して迅速な対応が可能になった。レポートの作成も業務部門の担当者自身でできるので、データの利活用が促進されて業務品質が高まったという。
「以前は、データの抽出やレポートの作成といったことはシステム部門の仕事という意識がありました。新システムではそれが業務部門でできるようになり、いろいろなデータをひとつのシステム上でまとめて見られるので、日々の業務に対する意識も変わったと思います」(中村氏)
データ管理やレポートについては、伊藤氏も評価している。
「以前はデータを都度抽出して見える形にする手間と時間がかかっていましたが、今はデータの動きがリアルタイムに把握できます。一部の現場の方々から『こんなデータを見られるようにしたい』という要望が出ることがありますが、『このようなレポートはどうですか』とシステム部門から迅速に提案できるようになりました」(伊藤氏)
また、購買や在庫管理などにおいて、業務効率化や時間短縮の効果は顕著に表れている。購買の見積書は、以前のシステムでは共有ができず、多数のファイルを都度メールに添付してやり取りしていた。新システムではSalesforceの添付機能でファイルをすぐ共有できるので、購買部門と営業部門の間で課題となっていた見積業務のスピードアップに貢献している。
伊藤氏は、購買部門から相談を受けて、スマートフォンのアプリで稟議の承認や決済ができる環境を整えた。外出先でも稟議のチェックや承認ができることで、購買部門の業務は飛躍的に効率化したと好評を得ている。
「もともと稟議(ワークフロー)はWebブラウザ用の機能でしたが、スマートフォンのアプリで使えるようにしました。システム内部のロジックは移行時に構築していたので、データの参照先を変えるなど少ない工数で実現できました」(伊藤氏)
発注に関する業務も改善されている。従来は発注計画作成はExcelで、発注処理は基幹システムで行うという具合に分かれていたが、新システムでは同一プラットフォーム上でできるようになった。商品マスタのデータ参照から計画、発注まで一連の工程をシームレスに進められるのは画期的で、とても使いやすくなったと現場の評価は高い。
外部システムで保持しているデータを含め、業務上のあらゆるデータがGLOVIA OM上で一元的に参照できるようになった。そのため、リアルタイムでデータを分析し、ビジネス状況の変化に対して迅速な対応が可能になった。レポートの作成も業務部門の担当者自身でできるので、データの利活用が促進されて業務品質が高まったという。
「以前は、データの抽出やレポートの作成といったことはシステム部門の仕事という意識がありました。新システムではそれが業務部門でできるようになり、いろいろなデータをひとつのシステム上でまとめて見られるので、日々の業務に対する意識も変わったと思います」(中村氏)
データ管理やレポートについては、伊藤氏も評価している。
「以前はデータを都度抽出して見える形にする手間と時間がかかっていましたが、今はデータの動きがリアルタイムに把握できます。一部の現場の方々から『こんなデータを見られるようにしたい』という要望が出ることがありますが、『このようなレポートはどうですか』とシステム部門から迅速に提案できるようになりました」(伊藤氏)
また、購買や在庫管理などにおいて、業務効率化や時間短縮の効果は顕著に表れている。購買の見積書は、以前のシステムでは共有ができず、多数のファイルを都度メールに添付してやり取りしていた。新システムではSalesforceの添付機能でファイルをすぐ共有できるので、購買部門と営業部門の間で課題となっていた見積業務のスピードアップに貢献している。
伊藤氏は、購買部門から相談を受けて、スマートフォンのアプリで稟議の承認や決済ができる環境を整えた。外出先でも稟議のチェックや承認ができることで、購買部門の業務は飛躍的に効率化したと好評を得ている。
「もともと稟議(ワークフロー)はWebブラウザ用の機能でしたが、スマートフォンのアプリで使えるようにしました。システム内部のロジックは移行時に構築していたので、データの参照先を変えるなど少ない工数で実現できました」(伊藤氏)
発注に関する業務も改善されている。従来は発注計画作成はExcelで、発注処理は基幹システムで行うという具合に分かれていたが、新システムでは同一プラットフォーム上でできるようになった。商品マスタのデータ参照から計画、発注まで一連の工程をシームレスに進められるのは画期的で、とても使いやすくなったと現場の評価は高い。
内製でさまざまなことを実現できる優れたシステムと実感
GLOVIA OMへの移行により、業務の変化に合わせたシステムの拡張やカスタマイズの内製化が可能になった。従来のスクラッチ開発と比較して、開発コストは1/3に、運用コストも1/2に抑制されている。
基幹システムをSalesforceとGLOVIA OMへ移行してしばらくは、新システムに対して現場からの好意的な意見はあまりなかったという。しかし、10年以上運用を続けてきた現在では、もう以前のシステムには戻れない、戻りたくないとの声が多くなった。ビジネスの基盤として高い柔軟性、可用性を備え、業務の変化に内製でスピーディーに対応できるようになった効果は大きい。
伊藤氏は、今回のプロジェクトから現在までを振り返り、次のように締めくくった。
「メインフレームからクラウド型のプラットフォームへ移行すると決まったときは、正直いろいろな不安があり、無理ではないかと思うこともありました。しかし、導入から10年以上が経ってなお、新しいことを試したり、実現できたりしているのはすごいことで、システムとして優れていることの証でもあるでしょう。セキュリティや開発環境など技術的な要素の変化にも、最新の状況に常に対応できるという安心感もあります。GLOVIA OMを選んだことは間違っていなかったと、改めて思っています」(伊藤氏)
基幹システムをSalesforceとGLOVIA OMへ移行してしばらくは、新システムに対して現場からの好意的な意見はあまりなかったという。しかし、10年以上運用を続けてきた現在では、もう以前のシステムには戻れない、戻りたくないとの声が多くなった。ビジネスの基盤として高い柔軟性、可用性を備え、業務の変化に内製でスピーディーに対応できるようになった効果は大きい。
伊藤氏は、今回のプロジェクトから現在までを振り返り、次のように締めくくった。
「メインフレームからクラウド型のプラットフォームへ移行すると決まったときは、正直いろいろな不安があり、無理ではないかと思うこともありました。しかし、導入から10年以上が経ってなお、新しいことを試したり、実現できたりしているのはすごいことで、システムとして優れていることの証でもあるでしょう。セキュリティや開発環境など技術的な要素の変化にも、最新の状況に常に対応できるという安心感もあります。GLOVIA OMを選んだことは間違っていなかったと、改めて思っています」(伊藤氏)
【本事例の導入製品・サービス】
Fujitsu GLOVIA OM
20年以上生産管理ERPを提供してきたGLOVIAのノウハウを、Salesforceのプラットフォーム上で提供するクラウド型基幹業務システムです。システム導入にあたりサーバー等の環境準備が不要なほか、SFA・CRMとのデータ統合により、二重入力の削減やデータ分析を行うことが可能になります。
20年以上生産管理ERPを提供してきたGLOVIAのノウハウを、Salesforceのプラットフォーム上で提供するクラウド型基幹業務システムです。システム導入にあたりサーバー等の環境準備が不要なほか、SFA・CRMとのデータ統合により、二重入力の削減やデータ分析を行うことが可能になります。
会社プロフィール
富士通コワーコ株式会社様
- 所在地:
- 神奈川県川崎市中原区下小田中二丁目12番5号(富士通中原ビル)
- 事業概要:
- 富士通純正サプライ品をはじめとするオフィス関連用品の販売、ドキュメントソリューション、PCデータ消去・買取サービスを提供