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日本生命保険相互会社様
将来性を視野にSalesforce Service Cloudを採用。確定拠出年金コールセンターのシステム刷新で、業務効率と顧客満足度のさらなる向上を目指す
- Service Cloud
- 金融(銀行・保険・証券)
- 5,000名以上
- 顧客管理
- コンタクトセンター
導入背景
1889年の設立以来、「生命保険」を通じて人々の生活をサポートしている日本生命保険相互会社(以下、日本生命)。同社は、2001年にスタートした年金制度「確定拠出年金」の運営管理機関として、老後の暮らしを支える資産形成についても、多くの個人、法人の契約者にサポートを提供している。同社では、この確定拠出年金に関わる事務処理、サポートを行うコールセンターの業務システムを「Salesforce Service Cloud」(以下:Service Cloud)で刷新した。
旧システムの保守期限を機に、クラウドによる課題解決に取り組む
日本生命保険相互会社
団体年金部 団体年金企画グループ
課長補佐
伊藤 萌 氏
このタイミングで、保守契約の終了時期を迎えたのが、確定拠出年金領域で利用されているカスタマーサポート向けの業務システムだった。従来のシステムは、制度がスタートした直後の2005年に独自開発されたオンプレミス(自社内での情報システム管理・運用)のシステムだという。
「当初は、保守契約の延長も視野に入れていました。しかし、検討の過程でService Cloudの存在を知り、今後、顧客満足度のさらなる向上につながるような、より効率的で使いやすいシステムに刷新することを決めました」
そう話すのは、団体年金部 団体年金企画グループで課長補佐を務める伊藤萌氏だ。確定拠出年金のカスタマーサポート業務においては、加入者からの問い合わせを電話で受け付けるコールセンターでの応対に関する情報と、書類を通じた事務作業に関わる情報との統合が、業務効率を高めるうえで重要だという。
「従来のシステムでは、電話での応対に関わる画面と、事務情報を扱う画面とが別々になっており、コミュニケーターはお客様の情報を個別に検索し、対応していました。また、オンプレミスで運用されていたため、今後さらにお客様数が増加していくことを想定するなか、容量やリソースが不足する懸念などが課題としてありました」(伊藤氏)
確定拠出年金制度は、制度に関わる法律の改正頻度が高い。法改正があれば、その業務に関連するシステムにも改修が必要になることが多いが、それにかかる時間とコストも負担になっていたという。
さらなる課題は、「企業顧客」の情報管理と、その活用に関わるものだった。確定拠出年金には「企業型」と「個人型」があり、企業型の場合は制度を導入している「企業」と、その従業員である「個人」が同時に顧客となる。同社では、制度導入企業に関わる情報や、企業担当者への対応履歴の管理には、これまで主に「表計算ソフト」を使っていたという。
「そのため、過去の情報検索や、全体での顧客傾向の集計や分析といった統計的なレポートの作成に、多くの時間がかかっていました」と話すのは、企業保険契約部 確定拠出年金事務グループ 課長補佐の福澄陽子氏だ。新しいカスタマーサポートシステムでは、これらの情報も取り込み、ほかの情報と統合的に扱える仕組みを目指した。
要件に合わせた柔軟なカスタマイズで、要件定義から9カ月後には本稼働を開始
日本生命保険相互会社
企業保険契約部 確定拠出年金事務グループ
課長補佐
福澄 陽子 氏
「移行先としては、コールセンター向けの専用システムなども並行して検討しましたが、それだと、われわれの求めるような情報連携はかないませんでした。 Service Cloudであれば、柔軟な情報連携が可能であり、今後の改修も迅速に行える点で要件に合うと感じました。また、Service Cloudを基盤としてシステムを構築することで、今後、お客様との接点が増やせるなどさまざまな発展が可能となる点を魅力に感じました」(伊藤氏)
同社では、Service Cloudの導入にあたって、コールセンターでの活用を含む多くの導入実績を持っているテラスカイと、共同で作業を進めていった。要件定義を開始したのは2019年1月。旧システムの保守は同年10月に終了するため、実質9カ月ほどで本稼に入る必要があった。
もちろん、新システムへの移行で、現場での業務効率が悪化してはならない。そのため、限られた時間のなかでも、エンドユーザーとなるコミュニケーター視点での使い勝手については、特に意識して開発を進めたという。
確定拠出年金コールセンターでお客様担当課長を務める上村祐介氏は、「ユーザーインターフェースについては、できるかぎり従来の業務フローを引き継ぎながら、それまで使用していたシステムに慣れ親しんだコミュニケーターが戸惑わないよう、シンプルにすることを心がけました。開発途中で実際のユーザーに画面を見てもらいながら、違和感なく利用できるよう改善を繰り返しました」と振り返る。このプロセスを通じて、必要な情報を発見しやすい画面構成や、選択項目の数と文字入力を行う項目のバランスなどを詰めていった。
「Service Cloudの良いところは、一度作った画面でも、あとから要素の追加や削除が簡単にできるところですね。稼働後には、法改正対応などを含めた改修を行う必要がありますが、その保守性を高めるうえでも、なるべくシンプルな項目設定、画面設計を心がけました」(福澄氏)
フロントエンドだけでなく、旧システムからのデータ移行や、表計算ファイル上のデータ統合など、バックエンドの部分も含めて、同社ではテラスカイのエンジニアと共同で開発作業を進めていった。結果、2019年9月、Service Cloudによる新カスタマーサポートシステムへの切り替えは無事完了した。
「確定拠出年金制度そのものが複雑で、お客様との間で多種多様な書類がやり取りされることもあり、正しい業務プロセスを反映したシステム作りは、難易度も高かったのではないかと思います。われわれの要望も、一度のミーティングではうまく伝えきれない部分があったのですが、テラスカイの担当者の方は、最後まで丁寧にフォローしてくださいました。最終的に、すべての要件を満たすかたちで対応してもらえたことには、とても感謝しています」(伊藤氏)
情報の集約が放棄呼率の削減に寄与。さらなる顧客満足度向上の基盤に
日本生命保険相互会社
団体年金部 確定拠出年金コールセンター
お客様担当課長
上村 祐介 氏
「電話応対と書類事務関連で2つに分かれていた画面が1つに統合されたことで、よりスムーズに応対ができるようになりました。また、複数回の電話応対や書類のやり取りがあった場合、その履歴が、お客様を中心とした一連のプロセスとして見られるようになったことで作業効率も上がっています」(上村氏)
コールセンターにおいては、コミュニケーターに繋がる前に顧客が切断したコールの比率を「放棄呼率」と呼ぶ。放棄呼率は、コールセンターの品質指標として重要視されており、一般的には7~10%になるという。日本生命の確定拠出年金コールセンターでは、この率を「5%以下」にすることを目標としている。新システムによる、情報検索、参照、入力効率の向上は、電話1本あたりの対応時間短縮にも貢献しており、コロナ禍の影響で入電数が増えても、達成可能なペースで推移しているという。これは、コミュニケーターが迅速に入電処理を進められていることが要因のひとつだと考えられる。
また、旧環境における課題のひとつだった、データの集計、分析にかかる時間と手間は、新システムでほぼ不要になった。福澄氏は「どのお客様から、何件の電話があったとか、どんな質問が多かったかといったデータの集計、分析は、Service Cloud上で瞬時にできるようになりました。表計算ソフトでの手作業と比べて、年間での作業時間は40~50時間ほど、削減できていると思います」と評価する。
同社では、Service Cloudによる新たなカスタマーサポートシステムを、今後、より高い顧客満足度の実現へ寄与するものに発展させていくことを計画している。
「たとえば、FAQ(よくある質問)をデータとして Service Cloudに取り込めば、コールセンターでの作業効率を高められるだけでなく、一部をお客様に対して公開することで、ネットを通じてより迅速に、よりお客様のニーズに即した情報を見つけていただくことも可能になるのではないかと考えています。また、CTI(Computer Telephony Integration)連携やAIの活用など、ほかのシステムとの組み合わせで、コールセンターの運営効率をさらに高められるような仕組みの基盤として、発展させていきたいと考えています。 Service Cloudには、われわれがまだ使いこなせていない部分があると思います。テラスカイには、事例の紹介や、コールセンターのような専門分野向けの新しい提案などを通じて、われわれが、その可能性をフルに引き出せるよう、引き続き支援をお願いしたいと思っています」(伊藤氏)
【本事例の導入製品・サービス】
Salesforce Service Cloud
「ケース管理」や「ナレッジ管理」といった機能があり、問い合わせ対応の効率化や自動化につながる顧客サポートに特化したアプリケーションです。
「ケース管理」や「ナレッジ管理」といった機能があり、問い合わせ対応の効率化や自動化につながる顧客サポートに特化したアプリケーションです。
会社プロフィール
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