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株式会社イオン銀行様
イオン銀行がSalesforceで取り組むデジタルシフトとEX向上 142店舗(2023年3月末時点、147店舗)に1,300名が所属する営業部門の育成・標準化につなげた改善事例
- Sales Cloud
- 金融(銀行・保険・証券)
- 500-5,000名
- 営業支援
導入背景
2007年10月の営業開始以来、「親しみやすく、便利で、わかりやすい」銀行を目指してビジネスを拡大させてきたイオン銀行。全国のイオンモールを中心に142の店舗ネットワークを抱え、ビジネス基盤となる口座数も700万を超える(2023年3月末時点、832万口座)。その店舗は年中無休で夜9時まで営業しており、近隣の住民にとっては気軽に相談ができる銀行として身近な存在だ。主力商品である住宅ローンのほか、個人の資産形成のサポートに力を入れている。そのイオン銀行が、過去に導入したSalesforce Sales Cloudの再構築を行った。狙いはどこにあったのか。2人のキーパーソンに訊いた。
個人の主観に委ねられていた見込み客の管理
株式会社イオン銀行
リテール戦略統括部長
橋部智之 氏
もっと営業を支援できるマーケティング要素の強いシステムにしたい。そう考えたイオン銀行が出した結論は「営業支援システムの再構築」であった。特に重視したのは、商談管理のプロセスを明確にし、システムに反映させることである。これまでは地域や店舗ごとに独自に商談情報を管理しており、見込み客のステータス管理も個人の主観に委ねられる部分も多かった。これを全社共通のデータを見ながら管理するやり方に変えようと考えたのだ。
Salesforceの再構築のパートナーになったのがテラスカイである。「プロジェクト開始にあたり、機能のカスタマイズを行わず、標準的な使い方をしようという方針を定めました。再構築のパートナーを複数の候補企業から検討しましたが、テラスカイにはSalesforceをよく知る技術者が豊富であることが決め手となりました」と三浦氏はパートナー選定理由を語った。3カ月の要件定義を経て、開発とテストを進め、新営業支援システムは2019年11月に稼働開始となった。
着目したのは商品ごとの商談管理プロセス
株式会社イオン銀行
リテール戦略部
デジタル推進グループ
マネージャー
三浦 樹 氏
この営業プロセスの明確化は、SalesforceのBA(BusinessArchitect)のサポートを得て実施したという。イオン銀行としても営業プロセスの整理と再定義が重要なことを理解していたが、具体的に何をしたらいいかまではわかっていなかった。「BAからのアドバイスを得て、3カ月の中で何をするべきかが明確になりました。また、毎週の会議でのファシリテーションで論点を整理することができたので、現場との合意を取ることもスムーズに運んだと思います」と三浦氏は評価した。
今まで個人の主観に委ねられていた案件の進捗は、組織全体で共有する形に変わった。Salesforceのダッシュボードを見れば、隣の同僚が抱える案件の進捗から全国の店舗の案件状況までわかるのだという。「所属する店舗内で得られる情報だけでなく、全店の情報が見れることで視野を広げてほしい」と、橋部氏は「ガラス張り」にした理由を語る。
Salesforceの利用頻度も増えてきた。担当者はもちろん、エリアマネージャーや店長の直近7日間のログイン率も上がり始めたという。Salesforceのダッシュボードを見れば、会議資料や日報を作成する必要もない。ユーザー単位では温度差があるものの、組織全体ではダッシュボードで進捗を確認し、打ち手を考える新しい仕事のやり方に変わりつつあると2人は考えている。
現在も続く現場への定着化
稼働開始から1年を経過しての評価は、「営業生産性の向上」「マネジメント力の強化」の2つは「○(ほぼ達成)」、「業務負荷の軽減」については「△(改善中)」というものだ。個人の手帳の中に閉じていた案件情報はダッシュボード上で全員が共有するように変わった。新システムを使い込んでいるマネージャーの部下へのコーチングの質も高くなった。その積み重ねが成約率にも現れ始めてきている。これに対して、会議では個別に作成した資料を使っている場面もまだ見られ、業務負荷の軽減という意味ではまだ改善の余地が残る。
苦心しているのは定着化である。システムが変わるということは、単に操作が変わるだけではなく、仕事のやり方自体が変わることを意味する。三浦氏は、「まだ商談管理の考え方を組織全体に伝えきれていないのだと思います」と話す。例えば、個人の感覚では「好感触を得たから次の営業ステップへ移る」と考えたとしても、Salesforce上では次のステップに移るには条件のクリアが必要となると営業の立場では「好感触の案件がなぜ見込み数値に反映されないのか」と当然、違和感を覚えるだろう。
一方で、経営層からの新システムへの評価は総じて高い。使っている人たちが成果を出していることは本部もよく知っており、「Salesforceのダッシュボードの数字しか見ない」と公言する経営層もいる。こうした言葉により、現場の利用が促されているのは間違いない。
また、新システムに慣れるまでには時間がかかる。負担を軽くするためには、現場にメリットを実感してもらわなくてはならないが、三浦氏はその努力を現在も続けている。具体的には、Salesforceが実施するメジャーバージョンアップで追加される新しい機能の使い方を現場に伝え、より営業の成果につながる支援を行うことだ。
例えばAIを使ったリードスコアリング機能は、多くの案件の中からフォローするべき優先順位の高い見込客を示してくれる。三浦氏は、「この機能が使われるようになれば、成約率のアップだけでなく、効率化のメリットも得られます」と期待を寄せる。
苦心しているのは定着化である。システムが変わるということは、単に操作が変わるだけではなく、仕事のやり方自体が変わることを意味する。三浦氏は、「まだ商談管理の考え方を組織全体に伝えきれていないのだと思います」と話す。例えば、個人の感覚では「好感触を得たから次の営業ステップへ移る」と考えたとしても、Salesforce上では次のステップに移るには条件のクリアが必要となると営業の立場では「好感触の案件がなぜ見込み数値に反映されないのか」と当然、違和感を覚えるだろう。
一方で、経営層からの新システムへの評価は総じて高い。使っている人たちが成果を出していることは本部もよく知っており、「Salesforceのダッシュボードの数字しか見ない」と公言する経営層もいる。こうした言葉により、現場の利用が促されているのは間違いない。
また、新システムに慣れるまでには時間がかかる。負担を軽くするためには、現場にメリットを実感してもらわなくてはならないが、三浦氏はその努力を現在も続けている。具体的には、Salesforceが実施するメジャーバージョンアップで追加される新しい機能の使い方を現場に伝え、より営業の成果につながる支援を行うことだ。
例えばAIを使ったリードスコアリング機能は、多くの案件の中からフォローするべき優先順位の高い見込客を示してくれる。三浦氏は、「この機能が使われるようになれば、成約率のアップだけでなく、効率化のメリットも得られます」と期待を寄せる。
コンタクトセンターとの連携も視野に
さらにSalesforceのService Cloudも再構築し、全国3カ所のコールセンターの業務生産性を向上させる計画も進行中だ。店舗とコールセンターのデータを連携させ、顧客をより理解した打ち手を講じることができるようになるだろう。
コロナ禍でも新営業支援システムは柔軟に対応できる強さを示した。今までは店舗に行かないとわからなかったことが、ダッシュボードにログインすれば、テレワークでも確認できる。かつ、オンライン会議システムを使うことで、主要な営業会議はテレワーク中でも滞りなく進行できる。顧客とのコミュニケーションは、オンライン相談やオンラインセミナーにシフトしたため、デジタルマーケティング施策を展開しやすくもなった。
まだ関係のできていない顧客にアプローチするには、デジタルを使うことが不可欠だというのが橋部氏の考えだ。「お店に来ませんか」とは言いにくい。電話も頻繁にはかけられない。そのため、相手にとって最適なタイミング、最適なチャネルでコミュニケーションを取ろうとすると、メールやプッシュ通知を使い分けることが好ましい。「関係のできているお客さまに対しては対面で営業支援システムを中心としたやり方でいいのですが、マスにアプローチする場合はデジタルマーケティングを一層活用する必要があります」と橋部氏は語る。
営業支援システム再構築より以前から、Web上での顧客の振る舞いを基にコミュニケーションができる仕組みは整備してきた。次に見据えるのは、来店やセミナー受講など、リアルでの振る舞いと組み合わせて同じことができるようにすることだ。実際の顧客の行動はオンラインだけ、オフラインだけで完結するものではなく、両方を行き来する。「その動きを見ながらお客さまを理解して最適なものを提供するようにしていきます」と橋部氏は今後の展望を語った。
コロナ禍でも新営業支援システムは柔軟に対応できる強さを示した。今までは店舗に行かないとわからなかったことが、ダッシュボードにログインすれば、テレワークでも確認できる。かつ、オンライン会議システムを使うことで、主要な営業会議はテレワーク中でも滞りなく進行できる。顧客とのコミュニケーションは、オンライン相談やオンラインセミナーにシフトしたため、デジタルマーケティング施策を展開しやすくもなった。
まだ関係のできていない顧客にアプローチするには、デジタルを使うことが不可欠だというのが橋部氏の考えだ。「お店に来ませんか」とは言いにくい。電話も頻繁にはかけられない。そのため、相手にとって最適なタイミング、最適なチャネルでコミュニケーションを取ろうとすると、メールやプッシュ通知を使い分けることが好ましい。「関係のできているお客さまに対しては対面で営業支援システムを中心としたやり方でいいのですが、マスにアプローチする場合はデジタルマーケティングを一層活用する必要があります」と橋部氏は語る。
営業支援システム再構築より以前から、Web上での顧客の振る舞いを基にコミュニケーションができる仕組みは整備してきた。次に見据えるのは、来店やセミナー受講など、リアルでの振る舞いと組み合わせて同じことができるようにすることだ。実際の顧客の行動はオンラインだけ、オフラインだけで完結するものではなく、両方を行き来する。「その動きを見ながらお客さまを理解して最適なものを提供するようにしていきます」と橋部氏は今後の展望を語った。
【本事例の導入製品・サービス】
Salesforce Sales Cloud
「取引先」「見込み客」「商談」などを管理することができ、営業の効率化や受注精度の向上につながるSFAアプリケーションです。
「取引先」「見込み客」「商談」などを管理することができ、営業の効率化や受注精度の向上につながるSFAアプリケーションです。
会社プロフィール
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