株式会社メモリアホールディングス様
Salesforceを活用して葬儀業界のDXを推進!家族・親族のCRM化を実現し、同業他社へのクラウドサービス提供も開始
- Salesforce Platform
- Sales Cloud
- SkyVisualEditor
- サービス関連・その他
- 100名-500名
- 営業支援
- 顧客管理
- 社内情報の一元管理
- 業務効率化
概要
株式会社メモリアホールディングスは、2000年7月に岐阜県で創業した葬儀会社だ。岐阜県内に16のセレモニーホールを有し、葬儀葬祭に関する充実したサービスを提供する葬儀事業のほか、理論に留まらない実践的なメソッドで同業他社を支援するコンサルティング事業、地域の高齢者を見守り安心を支える地域安心・安全化事業、シニアライフ事業を手掛けている。
今回同社は、Salesforceを採用して顧客管理システムを刷新した。さらに、同業他社にも利用できるよう、クラウドサービスとして提供を開始した。業務効率化と顧客サービスの充実を促すとともに、葬儀業界のDXを推進する取り組みとして注目されている。
非効率な業務を生む既存のシステム環境を刷新
「デジタル化が進んでいない葬儀業界において、私たちは葬儀業界のDXをリードすることを目指しています。数年続いたコロナ禍の中で、オンライン葬儀など新しいサービスも出てきましたが、弊社は『絶対的顧客本位』の経営理念に則り、お客様の声にきちんと耳を傾けて、ご意見ご要望にお応えできることをサービスとして提供していきたいと考えています。」(松岡氏)
株式会社メモリアホールディングス常務取締役の松岡誠造氏は、IT基盤の整備は従業員のより良い働き方を実現し、顧客にはより良い体験を提供するために重要と話す。これまでも同社はデジタル化に向けた取り組みを行ってきたが、自社システムの開発中断や、導入したツール間の連携不足など、十分な成果は得られていなかったという。
松岡氏は、自身が入社した2020年7月からすぐに、社内システム環境の刷新に向けて動くこととなった。
松岡氏は、自身が入社した2020年7月からすぐに、社内システム環境の刷新に向けて動くこととなった。
「基礎となる顧客情報、コールセンターの電話応対情報、葬儀で必要な多数の物品の発注情報、葬儀葬祭の施行情報など、さまざまな情報が別個のツールで管理され、社内に散在していました。お客様に関する情報をデータとして貯めるという習慣は根付いていたものの、それらはまったくつながっておらず、データの二重入力や再加工をはじめ非効率な業務が多々生じていたのです。データを相互につなぎ、社内業務を改善していくにはシステム面の見直しが必要と考え、急ぎ検討を始めました。」(松岡氏)
拡張性の高さを評価しSalesforceを採用
新システムの基盤選定は、いくつかの候補を挙げて比較検討した。最終的にSalesforceを採用した理由を、松岡氏は次のように話す。
「弊社は従業員100名ほどのIT部門もない会社ですから、大企業向けのシステムではなく、自分達の会社の規模で管理ができ、かつ基盤がしっかりしたシステムを選ぶ必要がありました。一方、将来的な活用範囲の拡大や、お客様への新たなサービス提供の基盤にもなり得ることも考慮する必要があります。Salesforceに決めたのは、顧客管理システムをLINEやMAツール、ECサイトと連携し、お客様がスマホでさまざまな情報を閲覧できるようにしていくということも考えられるため、APIや拡張性が優れている点をポイントに考慮しました。こういった点を踏まえ、自分たちで使いこなせそうなシステムをいくつか比較検討した結果、Salesforceが一番よいと感じたのです。」(松岡氏)
構築パートナーは、要件定義に基づく見積と提案を複数の候補に依頼して比較検討を行い、テラスカイを選んだ。システム基盤の選定段階から、信頼のおける実績豊富なところに依頼したいと考えていたとのこと。
「テラスカイは、どの国内パートナーよりも多種多様な企業・業態への導入実績があります。また、Salesforce認定資格者が多いことは選定のポイントでした。認定資格者が弊社の担当となってくれることを期待したのです」(松岡氏)
さらに、候補としたパートナーの中で、テラスカイの対応が最も優れていたことが決め手になった。
「こちらの意図を的確に理解されて、予算内でやりたいことを最大限できるように、『こういうやり方がある』『これはやる必要がない』と具体的に明示してもらい、さらに提案時から『データ構造はどうすべきか』といった細部まで踏み込んでいただけたのはテラスカイだけでした。Salesforceに精通している人が担当として携わっていただけるということで、ぜひお願いすることにしました」(松岡氏)
業務内容に合う使いやすいシステムを短期間で構築
新システムの構築は、まず顧客管理(CRM)のシステムから取り組んだ。これはすべての業務の基礎であり、「絶対的顧客本位」という同社の姿勢も踏まえて判断したと松岡氏は振り返る。短期間で構築することを優先し、使いながら改善・修正していく方針としたため、Salesforceの標準機能のみを使って構築した。
今回の構築で同社が重要視したのがデータ構造だった。SalesforceはB to B(法人-法人)、BtoC(法人-個人)など種々の取引管理に対応し、「取引先」「取引先責任者」といった項目を標準で備えている。しかし、同社では顧客の情報を「家族・親族」として紐づける必要があり、どのようにすればよいか思案したという。
「葬儀という業態ですので、『○○家』という家族単位で顧客情報を管理できる必要があります。親族の方の抜け漏れを防ぐ、そのご家族様で過去に行われた葬儀を把握する、など業務を適切に行うために、家族という単位でデータを持つことは重要でした。
関係者の協議では、家族単位で情報を管理すべきと明確に伝え、どのようなデータ構造がよいか検討を重ねました。B to B向けの機能を工夫して、良い着地点を見出せたと思っています」(松岡氏)
続いて着手した発注管理・帳票作成システムも、実質数ヵ月という短期間での構築となったが、テラスカイのSkyVisualEditorで画面設計をスピーディに行えたことが功を奏した。
「Salesforceの標準状態では1画面に表示できる情報量が少ないので、帳票として使いやすいように、なるべく多くの情報を1画面に収める必要がありました。SkyVisualEditorはドラッグ&ドロップで画面構成を簡単に編集でき、帳票データを素早く作成できるルックアップ機能なども備わっています。きちんとしたものを短期間で作るには、とても便利でした」(松岡氏)
従来のシステムからのデータ移行は、テラスカイの支援もあって無事に終えられた。予想よりもはるかにスムーズに進み、松岡氏も驚いたという。
「データ投入後の確認やレポート作成のやり方も、テラスカイの担当者に丁寧に教えていただいたおかげで、作業の後半では私たちでも自力で行えるようになりました。Salesforceの全体的な仕組みや特性だけでなく、苦手なこと、できないことも率直に教えていただいて、私たちも理解が深まりました」(松岡氏)
社内の高評価と業務時間の削減効果を確認
2020年10月からスタートした新システム構築は、CRMが6ヶ月、発注管理は4ヶ月程度の短期間で完成。翌2021年9月には完了となり、全社で運用を開始した。従業員に対する説明や研修は、構築と並行して進めることで理解・浸透を図り、それらの機会を通じて把握した現場の意見も新システムへ反映されている。
「実際に使う人が求めているシステムができなければ、せっかく構築しても使ってもらえません。各部署の代表者にもプロジェクトに加わってもらい、システム刷新の理由やメリットを包み隠さず伝えて、社内で理解が進むよう努めました。また、テラスカイの協力を得て、全社員を対象とした研修を初級編と基礎編の2回に分けて実施しました。私自身、この研修を通じてSalesforceの理解を深められた部分は多かったです」(松岡氏)
こうした取り組みもあって、新システムへの切り替えは滞りなく行われた。運用開始から1年ほどを経て行ったアンケートでは、業務時間の削減効果も確認できたと松岡氏は話す。
「年間で500万円ほどの業務削減効果が確認できています。コストという観点では、以前に開発が頓挫したシステムを作り直す場合と比較して、今回新規で開発したほうが費用を抑えられています。」(松岡氏)
デジタル戦略部 部長の水野秀昭氏は、新しいシステムが顧客へのメリットにもつながっていくと期待している。
「コロナ禍の影響もあって葬儀費用は下がってきており、今までと変わらない高品質でサービスをご提供していくには、いろいろなところで効率化が不可欠と思っています。これまで人が行ってきた業務を上手にシステム化すれば、その人にしかできない業務により多くの時間が割けるようになるでしょう。弊社は創業当初から地域密着で、お客様の顔が見えることを何より強みにしていますので、従業員の業務を下支えする基盤が整ったことは、間接的にお客様へのメリットにもつながっていくと思います」(水野氏)
葬儀業界のデジタル化を後押し
今回構築した新システムは、同業他社にも利用できるように、クラウドサービス「ブリッジ葬儀」として提供している。同社が手掛ける同業他社支援の一環でもあり、葬儀業界のDXを推進する取り組みとして注目されている。
「多くの会社様の垣根を越える、架け橋のようになりたいという思いを込めて『ブリッジ』と名付けました。当初から同業他社様にもご提供することを見据えていたので、弊社がご支援している会社様に意見を伺い、求められる機能や要件を反映していきました」(松岡氏)
「ブリッジ葬儀」の利用社数は増えており、直感的で使いやすく、データを一元的に管理・活用できるなど高く評価されている。業務がしやすくなったという喜びの声とともに、改善の要望も届くようになったとのことで、同社ではそうした声も前向きに受け止めて「ブリッジ葬儀」をさらに良くしていきたいと意欲を見せている。
また、SalesforceのAppExchangeを通じて、アプリケーションとして提供することも検討中という。
また、SalesforceのAppExchangeを通じて、アプリケーションとして提供することも検討中という。
「日本には7,000社以上の葬儀会社があり、使われているシステムも多様です。しかし、クラウドに対応した使いやすいものはあまりなく、自力で開発できる会社も少ないでしょう。通常の工程では長期間かかるシステム整備を、できるだけ短期間でご支援する方法として、AppExchangeは選択肢の1つと捉えています」(松岡氏)
水野氏は、システム面の支援を契機に同業他社との関わりが増すことは、同社の目指す葬儀のあり方を全国に浸透させる一助にもなるだろうと話す。
「同業他社様からSalesforceの導入に関する質問や相談が増えてきて、業界の中でもデジタル化に対する関心や弊社の認知度が高まってきていると感じています。弊社も多くの同業他社様とつながりを持ちたいと思っており、ミッションである『感謝で送るお葬式』を全国のお客様へ伝えるという取り組みを、ともに進めることができるようになれば嬉しいですね」(水野氏)
自社の業務改善に留まらず、同業他社の支援、そして業界全体のデジタル化と顧客サービスの発展に貢献できる新システムを無事に作り上げることができてよかったと、松岡氏と水野氏は笑顔を見せる。そして、テラスカイには感謝しかないと口をそろえる。
「対象や機能を絞ったとはいえ、きちんとしたシステムを半年程度で作り上げて全社展開できたのは、テラスカイの適切なご支援があってのことです。これからもさまざまな場面でご助力いただければと思っています」(松岡氏)
【本事例の導入製品・サービス】
Salesforce Sales Cloud
「取引先」「見込み客」「商談」などを管理することができ、営業の効率化や受注精度の向上につながるSFAアプリケーションです。
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SkyVisualEditor
Salesforceの画面をノンプログラミングで開発できるツールです。
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会社プロフィール
株式会社メモリアホールディングス様
- 所在地:
- 岐阜県大垣市
- 事業概要:
- 葬儀葬祭に関する一切の業務・葬儀葬祭事業の展開、コンサルティング事業、地域安心・安全化事業、シニアライフ事業